成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断力が十分でない方の権利を守るために法的権限を与えられた援助者(成年後見人など)を選ぶことにより、本人を法律的に支援する制度をいいます。

例えば、認知症などにより判断力が低下したことをいいことに親族の一人が本人の預貯金を勝手に使いこもうとしているなど本人に財産管理ができなくなっている場合、判断力低下により高額な商品を強引にすすめられるなど悪徳商法の被害にあうおそれがある場合、本人に相続が発生したが、本人に判断能力が十分でなく相続の手続ができない場合などが成年後見制度を必要とする場合です。

成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度があります。

任意後見制度とは、将来判断力が低下する場合に備えて「誰に」「どのような援助をしてもらうか」を判断力のあるうちに本人が公正証書による契約により決めておく制度です。弁護士に月額3万円程度の報酬を支払う契約をして任意後見人になってもらうことも可能です。

法定後見制度は、家庭裁判所によって本人の判断能力に応じて援助者として成年後見人、保佐人、補助人が選ばれるもので、利用するために家庭裁判所に審判の申立てをします。また、任意後見制度のように判断能力があるうちに申立てすることはできません。

法定後見制度の後見と保佐と補助の違いは次のとおりです。

後見とは、日常的な買物もできず、誰かに代わってやってもらう必要がある程度の判断能力の場合で、日常生活に関する行為を行う場合以外は、すべて後見人(又は本人)はその行為を取消すことができます。また、財産に関するすべての行為は後見人が本人に代わって行為することができます。

保佐とは、日常の買物程度は一人できるが、不動産の売買や金銭の貸し借りなど重要な財産行為は自分ではできない程度の判断能力の場合で、民法13条1項所定の行為については、保佐人の同意を得る必要があり、同意を得ないと保佐人(又は本人)はその行為を取消すことができます。また、特定の行為(申立ての範囲内)について保佐人は本人に代わって行為することができます。

補助とは、重要な財産行為は自分でもできるかもしれないが、できれば誰かに代わってやってもらった方がよいという程度の判断能力の場合で、特定の行為(申立ての範囲内でかつ民法13条1項所定の行為の一部)については、補助人の同意を得る必要があり、同意を得ないと補助人(又は本人)はその行為を取消すことができます。また、特定の行為(申立ての範囲内)について補助人は本人に代わって行為することができます。

具体的に後見、保佐、補助のどの援助者を選任するかは、家庭裁判所が鑑定書などをもとに決めます。

法定後見制度の申立人は、本人、配偶者、4親等内の親族などですので、ご自分で申し立てをすることは可能ですが、申立書の作成にはかなり時間と労力を要するため、苦労されるようであれば弁護士に依頼するのがよいと思います。